主な眼科手術
網膜硝子体手術
硝子体とは眼球の内部の大部分を満たしている無色透明でやや固いゼリー状のもので、硝子体は水晶体の後ろに接し眼球の奥で網膜とくっつき、眼球の形を保つと同時に入ってくる光を屈折させる役割をしています。硝子体に異常がある場合は、黒い点や虫のようなものが見える、物が歪んで見える、中心が暗く見える、視力低下などが起こり手術が必要です。
手術内容
硝子体手術はほとんどが局所麻酔で行われ、手術室で眼の消毒をした後に、眼の下の部分に麻酔を注射します。
それでも痛みに敏感な方には、術中に適宜麻酔を追加することで、ほとんど痛みを感じずに手術することが可能です。
2.濁った硝子体を切除し、膜を取り除きます
3.網膜剥離や黄斑円孔などの疾患は、灌流液をガスに入れ換えて手術を終えます
硝子体手術によって視力改善が期待できる疾患は、糖尿病網膜症、裂孔原性網膜剥離、黄斑前膜 (黄斑上膜)、黄斑円孔、黄斑浮腫、硝子体出血などが挙げられます。
硝子体手術の合併症
手術後に様々な原因で網膜剥離(網膜が眼底から剥がれてしまう)を起こす場合があります。そのような場合は、再び硝子体手術を行い、網膜剥離を治療する必要があります。
出血、網膜剥離、角膜障害、緑内障、感染症 等
白内障手術
水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下する病気で、高齢になると、徐々に視野がかすんできたり、光がまぶしく感じ全体的に見えづらくなるといった症状が現れます。濁ると水晶体に光が通りにくくなり、視力が低下してしまいますので、生活に支障をきたす程進行が深まると、濁った水晶体を取り除く手術が必要です。
手術内容
白内障はにごった水晶体を取り除くことが必要です。そのため、まず初めに超音波で水晶体を細かく砕き(乳化)、吸引します(超音波乳化吸引手術)。
創口が極小で、縫合する必要も無い程小さいので、術後の乱視や感染のリスクを軽減します。
手術にかかる時間もおおよそ5〜10分程度ととても短く、麻酔も局所麻酔によってほとんど痛みはありません。
患者様の不安・負担を出来る限り軽減する手術を志しております。
術翌日から、ほとんどいつもと同じ日常をおくる事ができますので、時間的余裕・経済的余裕をもって手術を受けることが可能です。
傷口は縫合することなく自己閉鎖します。
2.濁った水晶体の中身を超音波で砕いて取り除きます
3.人工水晶体(眼内レンズ)を折り畳んで水晶体の袋の中に入れます
眼内レンズの種類
人間の水晶体には、厚さを自動的に変えることで見るものに焦点を合わせる機能があります。
単焦点眼内レンズは、手元から遠くまでの一定距離にのみピントを合わせる事ができ、遠くにピントを合わせると、近くの者がぼやけます。
逆に、近くにピントを合わせると遠くがぼやけます。
多焦点眼内レンズ
白内障手術の時に、濁った水晶体の代わりに目の中にいれる眼内レンズの1つです。
手元から遠くまで広くピントを合わせることができます。
生活上の多くの場面において、眼鏡に頼ることを少なくします。
ただし、全ての距離に対してピントをはっきり合わせられるわけではありません。
白内障手術の合併症
白内障手術は、安全で成功率の高い手術となりますが、合併症が全く無いというわけではありません。
下記たような症状が、万が一にも起こった場合には、早急に適切な処置を行います。
出血、感染症、高眼圧、後嚢破損、水晶体の落下、屈折異常、乱視、レンズ度数の誤差、後発白内障、黄斑浮腫、水疱性角膜症 等
ただし、全ての距離に対してピントをはっきり合わせられるわけではありません。
緑内障手術
- 緑内障とは、目から入ってきた情報を脳に伝達する視神経という器官に障害が起こり、視野(見える範囲)が狭くなる病気のことです。
症状は、少しずつ見える範囲が狭くなっていきます。しかし、その進行は非常にゆっくりで、両方の目の症状が同時に進行することは稀なので、病気がかなり進行するまで自覚症状はほとんどありません。
緑内障は中高年の方に起こる代表的な病気のひとつです。症状がない場合でも、定期的に眼科検診を受けることをおすすめします。
水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術
緑内障と治療方法
緑内障は眼圧が高くなることが原因で、視野が狭くなったり部分的に見えにくくなる病気です。
一度失った視力は回復することができないため、早期に適切な治療が必要になってきます。
緑内障の治療についてはまず点眼薬による治療から入りますが、なかなか眼圧が下がらず進行が止まらない場合は手術を行うことになります。
白内障同時手術による新しい緑内障手術iStent
当院では、緑内障治療として「iStent(アイステント)」手術を行っています。
iStentは白内障手術と同時に行う緑内障の治療方法で、正式名称は「水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術」と言います。
この手術は厚生労働局より認可が下りた手術方法となっており比較的新しい認可手術となっています。
水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術
最近では緑内障手術の新しい治療法として、極低侵襲緑内障手術(MIGS)が注目されており、当院でもiStent inject® Wという器具を用いた手術を行っております。
iStent inject® Wは2018年に米国のFDAで認可され、これまで多くの患者さんに使用されています。国内では2019年に認可されています。
iStent inject® Wはチタン製の非常に小さなステントであり、体の中に埋め込む医療器具の中では世界で一番小さい器具であるため、手術時の切開創が小さく縫合もほとんど行われません。そのため、手術時間も短く、手術による体(眼)への負担が少ない手術となっております。
シュレム管へ直接挿入することにより、房水の排出を促し眼圧を下げる事が期待できます。
iStent inject® Wを使用する場合、必ず白内障手術を同時に受ける必要があるため、白内障手術を受ける際の緑内障点眼薬の減薬をご希望される方が適応となります。